2011年1月27日木曜日

日本のソブリン格付けから10年債入札を妄想する

S&P:日本のソブリン格付けを「AA-」に格下げ(Bloomberg)

夕方の一服から戻ってきたらやたら現物が売られる約定音が端末から響き、先物はホイホイ20銭ほど売られ139.70→139.50近辺へ。
USD/JPYは82円台前半から83円台へ1円程度の円安。
ふと見ればBloombergの端末に冒頭のようなヘッドラインが赤々と表示されていたわけです。

思わず出た一言は「押し目買いチャーンス」w

日本のソブリン格付けだの財政悪化だので海外のHF等がJGB売りを仕掛けることは前からありまして、ことごとく返り討ちにされてきたわけです。
裏を返せば、買い方に絶好の買い場を提供してきたわけですよ。

で、上記ニュースが流れた後、10Y#312は1.25が出合っていたような。
2/1に10年債の入札を控えて微妙なレベルです。債券市場の参加者としてはこんなことを思います。

(来週の入札、もしかしてリオープンしないじゃねーの?)

リオープンとは、毎月行われるJGBの入札において、既に発行されている銘柄を再度発行することです。銘柄統合とも言います。
超乱暴にいうたら公募増資みたいなもんですw

直近発行のJGB10Yである#312は1.2%クーポンの2020/12/20償還。
来週の入札で発行される10年債も2020/12/20という償還日は決まっています。
まだクーポンがいくらになるかは決まっていません。

新発債のクーポンは入札日のマーケット動向によって決定され、10:30に発表されます。

例えば2/1の前場で#312が1.24あたりで取引されていれば(円債は主に単価ではなく利回りで取引されます)、新発債のクーポンは1.2%となり、結果的に、クーポンも償還も全く同じですから#312が再度発行されることになるわけですよ。



海外勢あたりが現物なり先物なりSWAPなりでJGBを売り込んで、2/1の前場で#312が1.27あたりで取引されたとしましょう。すると新発債は1.3%クーポンになる可能性が高い。となれば償還が同じでもクーポンが違うので、#312リオープンではなく新回号の#313となるわけですね。


国債入札日の数日前から当日前場にかけては、新発債のクーポンを巡る思惑による商いが行われます。それは時としてかなり熾烈なものになります。新回号狙いで下値を叩いてでも売る人がいたり、リオープン狙いで下値を守る人がいたり。

なぜリオープン狙いの人が出てくるのか?

ここが今回のキモの部分ではあるんですが、それは来週の入札の後に書きましょう。このエントリももうだいぶ長くなってきたし、色々と大人の事情があるのでご理解くださいw

2011年1月25日火曜日

債券ディーラーの一日

とある証券会社の債券トレーディングフロアの光景


【7:00】
ぱらぱらと出社してきて、各自、前日の海外市況やその日の予定をチェック。
一番に見るのはやはり米国債の値動き。もちろん株、為替、商品や、指標、要人発言といった材料も確認。
ソースは主にQuick、Bloomberg、Reutersといった情報端末。

【8:40】
現物債の売買開始。
各ブローカーの取引用端末の画面に気配が出始める。とはいえ、先物の売買が始まるまではほとんど商いはなく、冷やかし程度の気配が大半であることがほとんど。

【9:00】
東証で日本国債先物の売買開始。実質的な"寄付"。
先物の値段を見ながら、現物の気配が詰まり、出合い始める。投資家からも、相場案内やオーダーの電話が入ってくる。

セールス「312、10億買いたい!」
ディーラー「…1毛甘」
セールス「今1毛甘ですね…はい、キメですね。じゃあ10億1甘買いキメ!」

みたいなやりとりが2時間ほど続く。

【11:00】
前場の先物の売買終了。続いて11:05に現物売買終了。ディーラーは実現損益や評価損益を集計して昼休みへ。

【12:30】
先物の売買再開。先立って12:25からは現物の売買が再開される。
昼休みの間に材料がでた場合など、先物の後場寄り前に現物が先に動き出すこともある。ディーラーにとっては指値消し忘れ注意の時間帯であるw
ここからまた2時間半、前場は様子を見ていた向きも巻き込んでの売買の時間となる。

【15:00】
先物の日中売買終了。でも現物売買はここでは終わらず、日によっては最も商いが膨らむ。いわゆる"引値合戦"はこのタイミングで行われる。ある程度落ち着いたらその日のP/Lを集計。個人的にはこのあたりでレポ取引もする。

【15:30】
先物イブニングセッション開始。
基本的には日中の売買に比べて流動性はガタ落ち。その日のポジションの最終調整の意味合いが大きい。
ちなみに、イブニングの約定は"翌日約定分"として扱われる。

【16:00頃】
BB国債価格、俗にいう"引値"が発表される。
債券は取引所取引ではないのでいわゆる終値というものが存在しない。そこで債券ブローカー最大手のBBが発表する引値でポジションの時価評価などを行う。投信の基準価額算出にも使われてると聞いたことがあるようなないような…。
ちなみに新発債の引値は翌日の日経新聞マーケット面に出ている。

【17:00】
ここでようやく現物の後場の売買が終了。
事務作業したり、知り合いのディーラーと電話で世間話したり、レポート読んだり、といった時間帯となる。とかやってる間に現物のイブニングセッションが始まったりする。

【18:00】
先物イブニングセッション終了。続いて18:05に現物の売買が終了。
イブニングの板が薄いところでヨーロッパ組から仕掛けが入ったり、消し忘れた指値が放置されていたり、動かなくても意外と気が抜けない。でも私はだいたいTwitterにいるw


とまぁこんな感じで一日過ごしてるわけです。
が、これでけではさっぱり意味わからんボケカス○ねと言われそうなのは理解しています。

いわばこのエントリーは目次みたいなもんで、ディテールについては個別にエントリーを立てて解説していこうかと思っとります。
…ニーズあるのか??(´∀`;

2011年1月23日日曜日

とりあえず始めてみます

マーケットに関する俺様メモを垂れ流していこうかと。
備忘録、頭の整理、ついでに勉強。
そんな使い方になるかと思います。

あまり表に出てこない債券・金利市場を中心にマニアックなブログになると思いますので、まぁ適当にお付き合いください。
私自身も頑張って書く気はさらさらありませんのでね(´∀`)