2011年4月2日土曜日

債券レポ-GC編-

債券レポはモノとカネをやり取りする取引であるということは前回のエントリに書いた通り。そして債券レポはSCとGCというふたつの形式に大別されます。ざっくり言うと、前者はモノありき、後者はカネありきの取引です。

今回はGCについて。
GCとは「General Collateral」の略でして、基本的には資金の調達・運用のマーケット、もっと言えば保有在庫のファンディングマーケットだと理解しています。

証券会社を例に考えてみますと、彼らは多くの現物債を在庫として保有しています。投資家さんが買いにくるであろう玉を在庫に仕込んでおいたり、売り注文を受けて取ったけど売却してなかったり。その為の資金は100%自己資金ってわけじゃあない。銀行からの借入金だったりレポやコールでなんかで資金調達してくる必要があるわけです。超大雑把にいえば信用取引みたいな構図。
てことで、現金担保付債券貸借取引という仕組みを利用して、逆に、債券を担保として使って資金を調達しようとうニーズが出てくるわけでして、これがGC取引。

担保玉は何でもいい、というのが最大の特徴です。実際は国債(JGBおよびTDB)しか使えないんだけど、やりとりする現金と債券が同額であれば銘柄は問わないということです。故にGeneral Collateral。

取引形態はT+2スタートのオーバーナイトが中心ではないかと思いますが何のこっちゃ(°Д°)ハァ?だと思いますのでご説明。

債券売買においては通常、約定日の3日後に受渡決済が行われます。そしてその約定日の翌日に保有債券の残高と資金過不足を確認して、必要に応じてGCで資金調達しにいくわけです。売買約定日の3日後=売買約定日の翌日の2日後で、売買約定日の翌日=GC約定日、という理屈。

つまりですな

来週で言えば、4/4約定の売買は4/7に受渡決済。で、4/5になって資金過不足を見たところどうも4/7時点で資金が足りない。んじゃぁ4/5約定のGCで在庫の債券使って4/7の資金を調達しましょうね、ということになる。
GCレポの約定日(Trade date = T)の2日後(T+2)にスタート(レポ取引の受渡決済)するGCが中心になるのはこういう背景なわけです。日銀の資金供給オペもT+2スタートが多いのは同じ理屈だろうねぇと推測する次第。
で、保有債券なんて次の日には売っちゃうかもしれないしまた増えちゃうかもしれないから、GCは翌日物の取引がほとんど。さきほど「T+2スタートのオーバーナイトが中心」と書いたのはそういうわけです。

ちなみにギョーカイではT+1スタート翌日エンドを「トムネ」、T+2スタート翌日エンドを「スポネ」と呼ぶ。また、月末スタート翌日エンドを「末初(まっしょ)」と呼ぶ。末初が読めればもう短期市場は制したようなものです(違

レポでは仕上がりのレポレートで気配出して取引するわけですが、GCでは品貸しに大した意味がないので貸借料は0.01として、現金に対する付利金利をレポレート+0.01で計算するのが慣行。レポレート0.11だったら付利0.12の貸借料0.01、という具合。債券を時価で評価して経過利息を含めて計算した受渡金額が現金担保の額。そこに金利かけて貸借日数分の利息だして、付利と貸借料の差引の金額を現金担保に足し込んで貸借取引を行います。

金利形成としては、通常は無担保コールO/Nの誘導目標からロンバート貸出の間で、その時々のマーケット全体の資金需要で動く。現状では誘導目標は0〜0.1のレンジだけど、当預の超過準備に0.1の付利があるから基本的には0.1が下限。資金の出し手からしたら、日銀に置いとけば0.1の金利もらえるんだから、取引やら事務やらコストかけてカウンターパーティーリスクとってまで0.1以下のGCで運用するニーズないじゃんという話である。

ただし、資金の出し手の中には超過準備付利をもらえない人たちもいるわけでして、昨今の大量資金供給当預40兆円攻撃(ドラめもんさん風)を受けて、そういう皆様が余資運用のために半ば涙目になりながら足元で0.08とかでGCに資金出してきてるわけですが。資金調達サイドとしては助かるは助かるんだけど、彼らのような出し手までやる気失ってカネ取れなくなると一発サヨナラ資金ショートに陥るので何ともアレではあるのですよねぇ。
ちなみにリーマンショックの時はカウンターパーティーリスクが意識されてというか要するに疑心暗鬼が蔓延して誰も資金を出さなくなって、GCのレベルがロンバート貸出の遥か上空まですっ飛んでったわけですが。
金利って、お金の値段なんですなぁ。

GCってこんな感じです。ニュースなんかで「日銀の潤沢な資金供給を受けてレポレートが低下」とか書かれるのはこのGCのレートのことだと思ってよいでしょう。レベルの指標としては東京レポレートというのが日々公表されてますのでマニアックな方はご覧ください。



長ぇなw

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