2012年2月13日月曜日

【書評】ゼロ金利との闘い

ゼロ金利との闘い―日銀の金融政策を総括する
植田 和男
日本経済新聞社
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90年代後半から2000年代央にかけての金融政策についての、ちょっと論文めいた一冊。

折からの金融経済環境に対応してきた結果、金利の上下操作という伝統的金融政策の自由度が失われてきたことと、不良債権問題等々を抱えた金融機関の資本制約による金融仲介機能の低下、という2つの課題に直面しつつ日銀が取ってきた金融政策運営上の苦悩。

バーナンキ&ラインハートの論文を引き合いに出し、ゼロ金利下での一段の金融緩和政策として①時間軸政策、②特定資産の購入、③B/Sの拡大を議論しているのが印象的。その中でも特に時間軸政策についてページ数を割いて解説している。
名目の金利に引き下げ余地がなくなり、時間軸を延長、その結果としてのリスクプレミアムの圧縮。これってまさに今起きてることじゃないか。

リーマンショック時に、流動性の枯渇やクレジットの爆発を経験したわけだけど、その後の構図は、本書の議論とあまり違いはないのだなぁ。政治がプアで政策効果が減衰されてしまったとさりげなくdisってる(ように読めるw)のも、今と変わらんですね。

中銀ヲチャーの端くれとして、手元に置いておきたい一冊です。

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